2018年5月12日

よゆうがなかった

今年の春は

桜を見ても

こころがうごかなかった。

***

桜の開花に心踊らないなんて

私は焦った。

どうしてしまったのだろう

と少し驚いた。

初春。ミモザの爆発のあと、ハクモクレンが街角のそこここに

開き始めた頃、白いろうそくのような形のそれらを指差し

「お母さんほら見て!」という男の子を

「はいはいそうね。」と無表情で応じながら

まっすぐに自転車をこぐ知らないお母さんとすれ違った。

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そのあと、桜が開花し、

あっという間にハナミズキの季節になり

あれよあれよという間にモッコウバラとドウダンツツジに溢れ、

 

気温が上がり

 

土が温まり

 

ようやく、ハッと顔をあげて

 

ああ、花が咲いてるな 綺麗だな

と思えた。

***

この冬は、余裕がなかった。

忙しすぎて、何も見えておらず、

タスクをこなすこととプレッシャーに必死で

いつしか心が硬くなったまま

動かなくなっていた。

***

「幸せっていうのは、幸せを感じられる心のことだよ」と、おじが言っていたんだー

と、

昔の同窓の友人が言っていたのを

思い出した。

***

満開の桜のしたでも動かなかった心は

少しずつ初夏の光とともに溶け出し

今は柔らかな雨の中で咲くバラを見て

 

 

 

しっとり、

幸せを感じられる。

花からの繊細なエネルギーを

感じられる。

***

こころが戻ってきてよかった。

***

幸せを感じる心が

幸せなんだよ

というおじさんの言葉に。

感謝を込めて。

 

SAKI