2016年5月8日

天王寺動物園

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よく晴れた日曜の昼下がり、食後のコーヒーも飲み終わり、少し歩こうかなというところにちょうど動物園があったら…それはシュレーディンガーの猫的な可能性によって、立ち寄ることが選ばれる状況なのです。

天王寺動物園はその名の通り大阪の天王寺にある動物園で、動物園特有の非日常的な長閑さとは裏腹に、頭上の阪神高速を車がびゅんびゅん走っていたり、日本で一番高いビルとして(局地的に)有名な「あべのハルカス」が象舎の奥にニョキッとそびえ立っていたり、小さな子どもが「ぼくのすきなまち」という題目で絵を描いたらこんな景色になりました、という感じの大阪らしい明け透けな空間でした。

でも考えてみれば「つくりもの」という意味では動物園も高層ビルもたいして変わらなくて、とかく人間という生き物は傲慢で夢見がちなのね、と、そんなことを思いながら動物たちを見たり、動物を見ている人たちを見たり、むしろ動物たちに見られているような気分になったり、ユーカリの木にしがみつくコアラとスリングの中で母親の胸にうずくまる赤ちゃんの間にはどれ程の存在論的な違いがあるのか、そんな哲学的な命題についてあれこれ思いを巡らせたりするにはうってつけの場所、それが動物園。

しかも入場料はたったの500円。
これはずいぶん安いと思って調べてみると、東京の上野動物園や多摩動物公園は600円、北海道の旭山動物園でも820円と、だいたい1,000円より安く入れるのが相場のようです。それに対して水族館や映画館の入館料はだいたい1,800円ぐらいだから、「園」と「館」のあいだには何やら超えることのできない経済格差があるようです。

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そして動物園と言えば、ネコ科こそがこの世界に支配的に君臨しているということを否応なく知らしめられる場所でもあります。虎やライオンが王者の風格でのそのそと闊歩しているのに対して、イヌ科なんて神経質な狼がおろおろしているぐらいで、ここでは人間の隣人として不動の地位を築き上げたイヌ科の動物の面目は丸つぶれです。

また、動物園は進化論に反論するための材料の宝庫でもあります。高いところの葉っぱを食べるために首を長くしたはずの麒麟がバツが悪そうに足を曲げて地面に生えた草を食んでいたり、大地を支配するために人間に進化したはずの猿が何不自由なく悠々自適に暮らしていたり、とてもじゃないけど「進化」なんてものが入り込む余地のなさそうな、多様性と宿命性の宝庫なのです。

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ところで北極熊の展示スペースは、氷山を模したつもりなんだろうけど、背景が黒いほうが絶対に白熊が映えると思いません?僕は思います。

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Jake