2016年7月11日

理屈抜きのノスタルジー。

田植え後の田圃を、見ると、なんというか、おなかの底をぎゅっと摑まれたような
懐かしくて、どこか切ない気分になる。

別に、実家が農家であるとか、出身地が農村地帯であるとか、
そういう理由もないのに。

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平日取れた休みに用事を詰め込んで、実質、本当のオフは数時間。

何をする? どこに行く?
そんなとき、なぜか急に「田圃が見たいなあ」と思い立って、バイクのエンジンをかけた。

 

千葉県鴨川市・大山千枚田。
首都圏から約2時間でアクセスでき「東京に一番近い棚田」といわれている。
房総半島のほぼ中央、内房からでも外房からでも、海沿いから内陸を目指す。
見通しの悪いくねくねとした急な峠道を小一時間ほど走ると、里山の合間に猫の額ほどの棚田の群れが姿を現わす。

日本では農業の崩壊が叫ばれて久しく、各地には耕作放棄地が数多い。
ここ大山千枚田は、そうした現状を憂え、NPO法人による保存活動が行われている。
すなわち、都市部の人に棚田オーナー、トラスト制度、体験農業を提供することで、
この美しい棚田の風景を守っていこうとする活動だ。

私が訪問した日も、おそらくこれから農作業に入るのだろう、
子どもたちの声が棚田の管理施設に響いていた。

そうした活動を始めた人たちは素晴らしいと思うし、
ちょっとした興味で保存活動に参加して、
昔ながらの里山を美しいと思う人が増えるのも、いいことだなって思う。

 

田植え後しばらく経った棚田には、若い緑が天を目指すようにすっくと立ち並び、
棚田特有の、山肌をなぞるような畦のゆるやかな曲線が、柔らかく美しい。

私の実家は農家じゃないし、出身地が農村地帯というわけでもない。
でも、この風景に臨んで、理屈抜きのノスタルジーを感じる人は、きっと、少なくはないはずだ。

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個人的には、究極の人工物であるバイクと、自然な里山の風景が、
なんでこんなにも調和するのか、不思議でならないのだけど!

 

大山千枚田

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keiko