2016年9月8日

姿なき歌

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時々、夜中に目覚めることがあります。

深い闇の中に、遠くまで響く美しい声。
最初は、キーンという冷たい石を打つような高い声で始まります。
その声で初めて目覚めた時、あまりの美しい声に神さまが降りてきたように思いました。
姿はどこにもない暗闇を見つめながら、時折上空を舞う羽音に耳を澄ませます。
幾度もキーン、カーンと夜の花や木を震わせると、今度はクルルクルッとすぐそばで話すような声。
幻想的な歌の中、美しい鳳凰のような姿を想像します。

私の家のすぐ横に大きな木があって、夜明けと夕暮れに一斉に何百羽という鳥たちが集まってきます。
同じ時間、同じ木に集まるその騒がしいくらいの集会を楽しみに眺めています。
その木で眠る鳥たちは、突発的な花火や大きな音がすると飛び起きてピチュピチュと可愛くざわめくと、再び眠ります。
でも、あの夜の神さまはそこにはいません。

鳥は夜は目が見えないから眠っていると聞いたことがあったので、闇の中で聴く歌は余計に不思議な響きに聴こえます。
昼間は一体どこで過ごしているんだろう。
そしてゾクッとするほど神秘的なその声で目覚めるたび、子供のように来てくれた!と胸が高鳴るのです。

今朝、海に見事な虹が架かりました。
沖の方から清らかな水がやってきて少し冷たい海水に浮かびながら、波の間から昇る虹を見上げます。
朝日に照らされて、金粉をまぶしたように虹の輪郭まで煌めいていました。
その時、異なる世界を行き来するあの姿なき神さまの声を聴いたような気がしたのです。

この世界は美しいもので満ちている。

9月のハワイは夏終わることなく、強い光を放っています。

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tsuki