2016年10月5日

照らされる花

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10月の新月から2日目、ひとつ歳を重ねました。

ハワイで暮らすようになって、誕生日は2日続きます。
日本とハワイの時差は19時間。
1日近い時差がある為、日本時間の誕生日の時ハワイはまだ前日の朝。
実際、生まれたのは日本時間なのでそれに合わせればいいのですが、ついハワイ時間の誕生日も特別な日になります。

誕生日の朝は、目覚めた時に必ずベッドの中で感謝の気持ちに包まれます。
産まれた瞬間から、今ベッドの中のこの瞬間まで私を繋いでくれた全てが蘇ってくる。
それだけで、パーフェクトな満ち足りた朝になります。

そして、今年の誕生日を象徴する香りが手のひらにやってきました。
お祝いにハワイへ来てくれる友達がたちが作ってくれた特別なお酒。
月下美人の花を漬け込んだお酒です。
ハワイの月夜に照らされ咲きこぼれた花を、ぽとりとリキュールに沈ませると半永久的にその姿を持続できるのだそう。
以前、渋谷のマンションのベランダで育てたその花は夜中に突然、ぽんと音をたて咲きました。
闇の中発光するような美しさに見惚れ、部屋の中まで漂う甘い香りにひとり眠れなくなったのを思い出しました。
花が目覚めているのに、眠れない感じの不思議な覚醒でした。
その透明な水は一口飲むと、花と一体となったような至福の甘い香り。
ここに生まれてきて、嬉しい。
そういう気持ちにさせてくれるお酒でした。

そういえば、いつかの誕生日にも同じ幸せを味わった事があります。
それは、成城学園にあるチャイニーズのお店で誕生日を過ごしていた時のこと。
特別な日ということで、そこのオーナーが細いグラスに注がれた黄金のお酒を用意してくれました。
ゴールドの液体には、オレンジ色の小さな花が無数に揺れています。
香りを嗅ぐと、それはあの秋を知らせる金木犀の切ない香りでした。
心震えて視線を上げると、嬉しそうにオーナーは大きな金木犀のガラスのボトルを抱えています。
毎年成城で一番先にひらく金木犀の木を探して、てっぺんに咲く花だけを摘んでリキュールに漬け込むんですよ、と朗らかに教えてくれました。
木のてっぺんに咲く花は太陽の光を一心に浴び、甘い香りを強く放つそうです。

私は普段、お酒を飲みません。
でも、こんな幸せな飲み物を断る理由はどこにもない。
太陽と月の光に照らされた、2つの花のお酒。
人の想いに触れ、何度も涙が出そうになった時間の余韻が花の甘い香りと共に記憶されていく。

振り返ると、どの年齢の自分も喜んでるような気がする誕生日でした。

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tsuki