2016年10月12日

走馬灯

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朝、ヨガのクラスを終え薬草茶を淹れていた時のこと。

何故か、心に東京の頃の記憶が次々現れました。
忙しく眠る暇もなく撮影やモデルとの時間に費やした時間。
ヨガや勉強を深めていくことに集中した日々。
友達や家族と食事をしたりカフェで交わした濃密な会話。
クラスで生徒さんの瞳を瞑る表情や、友達がたくさん訪れて私がせわしなく料理を作り続ける様子。
思い立てば車で九州でも京都でも自由に走り、あの繊細な自然の中で過ごした週末。
どのシーンにも、あの懐かしい日本の優しい光が降り注いでいます。
次々流れては消えていく記憶の中、突然手に負えないような猛烈な喪失感。
呼吸も忘れ細胞が逆立つような感覚がやってきたのです。
もう、二度と来ない時間。
当たり前だけど戻らない時間に、愕然としたのです。

ハワイに来て5年。
実は、ホームシックにかかったことはありませんでした。
土地柄もあり、ハワイには皆が会いに来てくれることもあると思います。
一度だけ、3年ぶりに帰国してハワイに戻る為空港へ向かうリムジンの中のこと。
レインボーブリッジを渡る頃に、窓に映る東京に涙が止まらなくなりました。
もう二度とここで暮らす事はないかもしれない。

それでも、帰りたいと思った事はなかったのです。
それなのに、突然やってきた初めての「帰りたい」という衝動に驚きました。
窓の外の木が光に翻り白く反射しているのを見ながら考えました。
もし、今帰国したらどうだろう?
イメージした時に、今の自分を喜ばすことはできない選択だとわかりました。
今はここなんだ。
その気持ちは、はっきり私を幸せにするものでした。
そして、はっとしたのです。
私は東京出身で、帰る場所(故郷)が欲しいなぁと思っていたこと。
今は、帰る場所があっていつの間にか叶っている。
どの街にも思い出がある東京を、初めて故郷と感じた瞬間でした。
帰国すると言うと、喜んでくれる人たちもいる。
そう感じると安心してどこにでも旅に出られるような気持ちになって、突然の走馬灯の意味を味わいました。
心が放つことは、いつの間にか目に映る現実へ転送される。

二度とやってこない、今。
いつか全てを思い返す時、どんな風に映るんだろう。
最高に私らしい走馬灯にしたいと思うのです。

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tsuki