2016年11月23日

pop up

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あの時の、あのコトバの力は。

友達が別れの空港でハグしながら、「あなたも家族も友達も、いつどこにいても最高だよ」と耳元で伝えてくれた時、突然蘇った光景がありました。
ゆっくりと身体が離れて、ゲートをくぐり、ハワイを離陸して、もう届かない上空にいる。
さっきまで同じお皿のものを食べて、笑い合っていたのに。
そんなことを思いながら、ハイウェイを走り、さっき浮かんだ記憶へ心は戻ります。

それは、数年前。
大切な友達を亡くした、冬の東京。
パートナーとお葬式に参列しました。
隅の方に立ち、無表情で涙溢れるまま、立ち尽くしていた私。
亡くなった彼女と一緒によく会っていた友達の一人が、まっすぐ私の前まで来ると泣きはらした瞳のまま優しく笑ってこう言いました。
「さっき、初めてあなたの旦那さまにお会いした。彼を選んだあなたの人となりが伝わってきて、初対面からあなたを好きになった私は正解だったと思ったよ。あなたは最期まで泣かずに、彼女に寄り添った。諦めず一緒にいてくれて、ありがとう。」
私たちは同じように大切な友達を失ったばかりで、記憶がいくつも押し寄せて潰されかけていたのに、こんなに優しい気持ちで世界が見えている。
私も笑顔になって、でも相変わらず涙は止まらなくて、ああそうか、これも亡くなった彼女が最期に贈ってくれたギフトなんだと思いました。

あの時、穏やかな気持ちで冬の光の中見送ることが出来たのは、あの人の言葉や想いも手伝っていたんだと今は思うのです。
そして、自分の大切に思う人や出来事を同じように愛してくれる人がいることは、かけがえのないこと。
今年がひとつづつ終わっていく夏の中で、そんな風に感じました。

樅の木の大きなクリスマスリースと、冬に出るオーガニックの小ぶりの林檎を積んだ車の中は、ここで眠りたくなるほど芳しい至福の香り。
懐かしい冬の森と甘い林檎。

 

フラッシュバックが運んでくれたエッセンスは、記憶から新しい現実へ反映されていくポップアップのよう。
オアフ島の花、イリマが揺れています。

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tsuki