2017年6月3日

エンデのメモ箱


「透明でいること。濁らないこと。
そうすれば、言葉や世界は自分の世界の一部になる」

子供の頃から、本が好きでした。
学校の図書室の本を全て読み終えて、途方にくれることもありました。
今も、眠る時間を割いても本の世界に入っていきます。
欲しい日本語の本は、ほぼハワイでは手に入りません。
オンラインで送ってもらうか、Kindleで読むことも多くなりました。
好きな本は、何度でも読み返す。
何度捲っても、呼吸を忘れてしまうほど夢中になる時間が堪らなく至福。

ある時、好きな人に本や音や映像からインスパイアされると伝えると、
自分が透明だから言葉や情景が鮮明に入ってくるんだよ、と教えてくれました。
そう言えば、身体も浄化されていくと
調理や加工されていない果物や野菜の香りや甘みを深く感じるようになる。
本を読んでいて入ってこない時は、雑念が雲のように漂っている時だと気づきました。

だから、私は本や音のためにも透明な存在、心でいたいと思うのです。

6月のテーマが「読書」だったので、迷った挙句
最後に読み終えたものを選びました。

「モモ」「果てしない物語」「ゆめくい小人」。
繰り返し読み返した、ミヒャル・エンデの本たち。
そのミヒャル・エンデの、ひらめきや、創作ノートや覚書
考察していることのメモの入った箱から纏められた一冊。
「エンデのメモ箱」です。
彼の心の世界、インスピレーションを一緒に受け取っているような
そして、あの物語はこんな意味を纏っているのか、とバックグラウンドに触れるようでした。
政治的な話も多く、奥底にある冷たい闇、短い詩や手紙。
それは、何度も立ったあのファンタジーの世界とはかけ離れているようでいて
紛れもなく彼がいつも伝えたかったことや、啓示してきたことのルーツでした。
あの壮大な夢物語を通すことで、人の心や命に届くものになったのだと思います。

110以上の短編から、私の心の一部になった言葉たちは
いかにも、「今」の私を映し出してる。
クエストという短編の最後の言葉。
「人は誰も自分が探すものに変身するのだ」
心がきゅっとなった後、羽ばたいていくようでした。

併読していたのは、エンデの友人だった日本人の方がインタビューしたものを
亡くなった後に編まれた「ものがたりの余白」です。

この二冊を読んでから、「モモ」や「果てしない世界」を読むと
また、別の次元とアクセスできるかもしれません。

心に光ある週末を。

tsuki