2017年7月8日

溶けこむ

ハワイに訪れた人たちから、繰り返し聴く言葉があります。
「ここに来ると、気づかないままでいた心の声が聴こえたり、自分という存在が浮き彫りになる。」
私にはそれが、歌のように聴こえたり、苦しみのさざ波に見えたりします。

滞在の初めの頃に如実に現れる、個である「自分」という輪郭。
ハワイじゃなくても、立つ場が変われば、新たに知る世界や自分の側面。
でも溶岩から生まれたハワイでは更に、深い場所に眠っていたものが、
目に見える次元へ、明らかに引き出されるといいます。
心に在るものも、外側の世界へ転送されるスピードが速い。
熱や涙、感情や夢や痛み、あらゆる現象となってこの世界で「見る」ことになります。

私はそれをただ見つめ、心や呼吸や身体の使い方が変わり、
目に映る世界が色を変えていくのを待ちます。
強い光の乱反射や、夜の花が眠る気配を体感するうちに
浄化もインスパイアも進み、ゆっくりと自分の中心と取り巻く宇宙に
リズムが合ってくるのです。

古代のハワイの人々は、内なる声を聴くことで、全てから声が聴こえてくることを
知っていたそうです。

以前、佐藤初女さんとお会いしたことがありました。
森のイスキアで生前、たくさんの人々の命に栄養を注いで下さった、美しい方でした。

本来の自分に戻っていく人たちに触れていると、初女さんの言葉を想い出します。

私たちは迷った時に、休むと考えが浮かんでくるように、
食材も透き通ったら火を止め、味をつけて溶け込ませると、
香りが良く歯ごたえがいいものができます。

多くの料理が休ませることで、味が自然になるのです。

食材をいのちとして受け入れるのです。

初女さんのお料理』より

人も同じように、足を止め、心を鎮め、取り巻く全てと一体となり
溶け込んだ時に、いのちは深まり、ありのまま立つことができる。

混沌とした瞬間の連続から、全てとの境が消え
心だけになる時間は、美しいコントラストの贈り物なのかもしれない。

夏の旅のはじまりです。

tsuki