2017年10月7日

記憶の秋が呼ぶもの

視界が煙るような薄蒼の秋雨、夕刻に香る金木犀。

記憶の中に残してきた東京の秋が呼ぶものがあります。
いくつかありますが、今最初に浮かんだ2つだけ。

wagashi asobiドライフルーツ羊羹
無花果と苺と胡桃がごろりと入った、黒糖とラム酒の羊羹です。
初めの一口で、目を瞑って余計なことが消えていきました。
これは、秋に食べたい。
季節のものではないけれど、体がそう言ったような気がしました。
ワイン好きの友達が家に来た時、ロビオラ・ムッカというチーズをのせて出したら、
ワイン片手に瞳の色が変わったのを覚えています。
ハワイに移住する少し前にこの美味しさを知ったので、後ろ髪引かれる私に友達が、
出国直前に買ってハワイまで持ってきてくれることもありました。
「パンに合う」という謳い文句のように、和菓子の域を超えた濃密なカタマリです。
ここのお店の創業者の方は、とてもユニークな方です。
「わがしごと」という本も出されています。
自らの中にあるものを外に反映させていくのに、ヒントとなる素敵な一冊です。

もうひとつは、ルーガンマントウ
秋になると熱々のマントウを求めに、台湾ローパオのお店ルーガンへ。
私はヴィーガンなので、お肉の入ってないふかふかのマントウを
家の蒸籠で蒸し直して、体調や気温に合わせて、
生姜やレモングラスなどを選び、厚揚げやお豆で餡を作り挟んで食べます。
普通は、厚めに切った角煮や炒め物を挟んで食べるのだと伺いました。
蒸籠の湯気の向こうで秋の光が部屋の表情を変えていくのを
マントウをふうふうしながら眺めていたのが、昨日のことのようです。

冷たい風が吹く頃、バスタブにはエプソムソルトやクレイ、
オーガニックのネロリやフランキンセンスのオイルを落とします。
その香りの中に浮かんでいると、上空の気流の音や遠くの木が揺れる音まで聴こえて
秋が深まり空気が澄んでいくのがわかります。
遡ると、秋はいつも静けさの中で、急かさず相応しい時を待っているような時間でした。

こうして書くことで、
遠くの秋が、今の体の中にやってきたようです。
心と体は等しい。

今年の日本の秋も美しく映っていますか?

tsuki