2017年11月18日

月と虹

想いが孵化して、贈り物という形になる。

私の元に小さな贈り物が届きました。
その包みをひらくと、美しい月の刺繍と1冊の本と手紙でした。
しばらく床に座り込み、月と光の帯が漂う夜の世界を眺めていました。

「これは、あてもなく、刺したい時にひっぱりだしてつぶつぶと仕上げた刺繍です。
  色の境界がないように、溶け合うようなイメージだけで進めてきたんだけど、
  最後が近くなった時に、左上に月のようなものがぼわっと出てきて、その時
  『あ、ともちゃんに送ろう』と思ったの。」

東京にいた頃、彼女と彼女の小さな女の子は私のヨガに通ってくれていました。
この刺繍を小さな女の子もとても気に入っていたけれど
彼女がこれは人にあげるんだよって言ったら、
あげるならともちゃんがいいと言うから
やっぱりそうなんだ、と私に贈ってくれたそう。
そのやりとりに懐かしい感じがして、涙がこぼれました。

心にある構図が、電波のような波を放って
美しい模様をこの世界に描き出し、
私のベッドサイドでいつも月を浮かべる。
手作りのものや手書きのものが示す温度に、いつも惹かれます。

1冊のやわらかい本。
写真家、齋藤陽道さんの「それでも それでも それでも」
生まれつき耳が聞こえない彼ですが、聴こえない音を光にして映し、
心の音をフォントに落として言葉を繋げているように感じる。
外側と内側の世界を繋いで生きている人です。
バスタブにたっぷりのお湯を張り、浮かびながら捲ると
言葉になる前のざわめきがお湯の中に流れ出す。
裏表紙の柔らかい紙の小さな虹が、この本を読みながら
私を思い出してくれたという彼女と重なります。

私にとって、風を家に招いたり、朝の月と太陽を見つけることは
信仰に似ているような気がします。
そんな日常の中にある祈りのようなものを、贈り物をするとき
そっと込められたらいい。
燻んだものを、透明にしてくれるお守りのような贈り物。

今日は新月です。

tsuki